
肛門治療
肛門治療
当院では内痔核に対し、切らないで治す方法の硬化療法(ジオン注)を行っています。
1.ジオン注とは
「ジオン」という注射剤(硬化剤)を用いて内痔核(いぼ痔)に対して、注射による治療を行うものです。
2.内痔核とは
肛門の粘膜下には、血管が集まって肛門を閉じる働きをするクッションのような部分があります。肛門への負荷が重なるとクッションを支える組織(支持組織)が引き伸ばされて、クッション部分が腫れ、出血したり、肛門の外に出たりするようになります。これが内痔核です。痔核は主に、前側を12時とすると時計方向で3,7,11時方向の3カ所にできることが多く、痔動、静脈がこの部位を走行するからです。

3.ジオン注の投与方法(日帰り手術)
患者さんはうつぶせの体位をとります。肛門周囲に局所麻酔を行い、肛門を十分に拡張し、痔核に対して図のように4ヶ所に分割(四段階注射法)して投与します。これは、痔核に薬液を十分に浸透させるための方法です。
多くの患者さんではこの方法だけで治癒可能ですが、外痔核成分の多い人では飛び出ている痔核部分は切除しないときれいに治りません。多くは1箇所に見られることが多いので、その部位は少し切除しますが、1箇所ですので術後はそれほど痛みません。また、ポリープを合併している人、痔核の保持年数の長い人で皮膚のたるみがある人がいますが、これも切除しないときれいに治りません。

4. 当院で2016年4月から2020年12月までに痔疾患で手術した総数は97例で、そのうち内外痔核は95例でした。
以下、95例についての手術方法です。
この結果では肛門ポリープ、皮垂切除の症例を含めますと約56%近くの患者さんはジオン注で治癒可能です。
5.術後経過
局所麻酔ですので術後15分くらい様子をみて問題なければ帰宅できます。
切除した場合は2日ほどピリピリした痛みがあります。また肛門部の重苦感が出ることがありますので鎮痛剤等を服用して頂きます。合併症としてまれに注射部位のビラン、潰瘍などが見られることがありますが、保存的治療で治ります。
6.その他の肛門疾患
切れ痔:肛門の皮膚が切れたり、裂けたりした状態。
痔瘻:肛門周囲に膿がたまり、外に流れ出る状態。
このような患者さんも診察、治療しますのでぜひ外来を受診して下さい。